メールマガジン

No.15 2008年8月5日発行

 日本ナレッジ・マネジメント学会メールマガジン 第15号

☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★☆☆☆☆☆☆★★☆☆★
 日本ナレッジ・マネジメント学会メールマガジン
 第15号   2008/8/5
☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★☆☆☆☆☆☆★★☆☆★

編集・発行:日本ナレッジ・マネジメント学会(KMSJ)事務局

□ 目次
[学会からのお知らせ]

◆TKF2008への参加意思表明のお願い
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

◆「知の創造」研究部会 8月26日研究会開催のご案内
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

◆ベンチマーキング部会第3回企業訪問 速報
(ベンチマーキング部会 事務局担当)

◆ベンチマーキング部会 第2回BM活動報告書
(ベンチマーキング部会 事務局担当)

◆京都大学名誉教授 日高敏隆先生講演会のご案内
(広報部会)

[学会員からの寄稿]
◆第5回 KM AUSTRALIA 2008 参加報告
 (日本ナレッジ・マネジメント学会専務理事 山崎秀夫)

◆日本人はアジアで最も豊かな国の民ではなくなった
 (日本ナレッジ・マネジメント学会理事・国際部会長 進 博夫)

[寄稿・転載記事]
◆経済産業新報より「世界の潮流はクラウド・コンピューティング」

◆メルマガ「クリエイジ」第208号 2008年7月22日より

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◆TKF2008への参加意思表明のお願い
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

 今年のTKF2008 は11月16日(日)-17日(月)に開催致します。
統一テーマは、Dynamic "Ba" for Creation of "Chi"。
会場は、東京商工会議所です。
7月号でご紹介したとおり、以下の公式サイトも開設致しました。

http://tkf2008.jpn.org/

 プログラム構成は、講演者・テーマ・日程調整などを鋭意検討中
です。確定したものは随時公式サイトに掲載させていただきます。

以下にその一部をご紹介いたします(変更の可能性はあります)。

 基調講演・特別講演は、
  野中郁次郎 一橋大学名誉教授
  堀場雅夫  堀場製作所会長 
  森田松太郎 日本ナレッジ・マネジメント学会理事長
「知識の源は型と知」
  梅本勝博 北陸先端科学技術大学
「場としてのプロジェクト:KMの視点から」
  紺野登 多摩川大学教授
「知識デザイン企業に求められる場」
  柱 秀貴 株式会社ダイセキ副社長

 一般講演は、海外からの参加者、学会関係者、企業事例など
多彩な内容になります。
 ご参加になれば必ず満足していただける内容と考えております。


日程は、TKF2008
 第1日:国際会議場で日英同時通訳対応
 第2日:東商ホールで英語・日本語逐次通訳
同時開催の日独ICサミットと中小企業の知的資産経営
 第1日:午後特別会議室で日独ICサミット・ラウンドテーブル
 第2日:特別会議室で中小企業の知的資産経営の発表会


 今回は、東京商工会議所の絶大なる協力を得て経費節減を果たし
ました。また、多くの企業の支援を得るべく活動中です。
しかし、学会員の参加による25,000円の積上げが基本収入です。
学会員個人にとっては決して安い出費ではないと存じますが、是非
積極的なご参加をいただき、会を成功に導きたいと考えております。
 実際の参加費お振込は9月以降になりますが、会場設営の都合も
あり、早めに参加意思の表明をして頂きたくお願い申し上げます。
参加意向の表明は、事務局宛にE-Mailにてお願い致します。


※事務局のメールアドレスは以下のとおりです。
E-Mail:kms@gc4.so-net.ne.jp

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◆「知の創造」研究部会 8月26日研究会開催のご案内
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

「知の創造」研究部会の第2回研究会を、下記の要領で開催いたします。
初めて参加される方も歓迎いたします。参加希望者は、お気軽に
下記の連絡先まで
メールでご連絡願います。
 本研究会では、「知の創造」に関する企業の事例研究を中心に行い、
参加者間で知見の交流を通じてお互いに学び合い、知の交流・共創の
ダイナミックな場を目指します。

本年第2回目の研究会の実施要領

日時:2008年8月26日(火曜日)午後4:00-6:30
場所:大手町東京経済大学葵友会サテライトオフィス
   〒100-0004 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル5階533号室
   JR線:東京駅丸の内北口から徒歩7分
   営団地下鉄:丸の内線・半蔵門線・千代田線・東西線大手町駅下車2分
   都営地下鉄:三田線 大手町駅下車徒歩2分
プログラム:
1. 今後の研究会の進め方と事例研究の質問・チェック項目の検討,
事例対象企業の選定等(午後4:00-5:20)
2. 企業事例の報告(午後5:30-6:30)
報告者: 植木真理子氏(京都産業大学経営学部准教授) 
テーマ: 「日米におけるナレッジ活用の現状と課題―日本情報機器企業
A社の実態分析―」
報告内容:多国籍優良企業A社のインタビュー調査結果に基づき、日米に
おけるナレッジ・マネジメントの事例分析とそこから得られるインプリケ
ーションを提示いたします。
   連絡先:日本ナレッジ・マネジメント学会「知の創造」研究部会長 
植木英雄(東京経済大学教授)
ueki-mhk■tcat.ne.jp(送信の際は■を@に差し替えてください)
   参加費:無料(飲み物は各自で用意願ます。)

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◆ベンチマーキング部会 第3回企業訪問速報
(ベンチマーキング部会 事務局)

 ベンチマーキング部会では、第3回目のKM先進企業訪問として、
7月24日に富士フイルム先進研究所を訪問しました。ベンチマーキ
ング部会メンバーはじめ合計17名が参加しました。
 応対頂いた方々は、R&D統括本部事務部藤村律儀課長、池田真人
のお二方、全体説明、内部見学、質疑応答というより意見交換会
に非常に前向きに応じて下さいました。
 場所は、神奈川県足柄上郡開成町牛島577、小田急線開成駅から
富士フイルム専用バスで数分のところでした。この地域は、富士ゼ
ロックスも含め、富士フイルムグループの施設が集中しています。
 「富士フイルム先進研究所」は平成18年4月12日に富士フイルム
グループのコーポレートラボの中核基地としてオープンしました。
デジタル化の流れの中、重要なコア事業であるフイルムカメラと
フイルム市場の衰退・需要減による会社の危機を救うべくグルー
プ企業全社の英知(技術)を結集して新しいコア事業を見つけるべ
く設立されたものです。5-10年後を念頭において新製品・新事業
の基盤になるコア技術を研究する必要がある。社内技術の融合に
留まらず、異文化・異技術との接触が必要と考えて「融知・創新」
をスローガンにしています。
 従来の暗室文化からの脱却を目指して、明るい研究環境を整備
するよう壁は素通しガラス、幾つもの部門が同居する大部屋方式
など、意識改革のための仕掛けが提供されていました。
 なお、詳しい訪問報告(訪問記)は9月号にWebと連携して掲載
する予定です。

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◆ベンチマーキング部会 第2回BM活動報告書
(ベンチマーキング部会 事務局担当)

報告者:ベンチマーキング部会 
    岩岡保彦、松本 優、小林洋子、進 博夫
日 時:2008年6月17日 13:00-16:00
訪問先:日産自動車先進技術開発センター
    神奈川県厚木市森の里青山1?1
応対頂いた方々: 技術開発本部技術企画部 三枝信雄主管、
         佐藤亜未、のお二方
訪問者: 部会員を主体に31名
概要(流れ):
 ・野村恭彦部会長の挨拶
 ・三枝信雄主管のプレゼンテーション
 ・2班に分かれて開発センター内部の見学
 ・Q&A
印象:素晴らしい開発環境を整備し、日本の自動車産業の未来に
つながるオープンな開発環境の実現に向け一歩を踏み出したこと
は、非常に印象的でした。

今回のレポートは先発(正統派エースの岩隈ならぬ)岩岡保彦、
2番手(カメラマン兼遊び球の多い技巧派)松本 優、3番手
ショートリリーフは(広島カープではなく広島はマツダの)小林
洋子さん、4番手クローザーは前回も先発登板した進 博夫のライ
ンナップでお届けします。そして最後は(例によって野村監督の
ボヤキではなく(^_^))野村部会長の総括「ダイナミックな場」
の視点(2)で締めています。(編集松本)

以下、要点だけ記述しても長編レポートなので、最初からWebへ飛んで
写真や図つきでお読みくださ方が楽しく、ためになると思います。

http://www.kmsj.org/home/archive/20080617.pdf

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◆京都大学名誉教授 日高敏隆先生講演会のご案内
(広報部会)

Circuit-Network 第53回研究会 (通算123回)

日 時 2008年9月12日(金) 15:30-17:00
場 所 回路会館地下会議室
日本電子回路工業会 (Tel:03-5310-2020)
〒167-0042杉並区西荻北3-12-2
講 師 日高敏隆(ひだかとしたか)博士
京都大学 名誉教授、滋賀県立大学 初代学長
総合地球環境学研究所 初代所長
演 題 人間と動物の相互関係
会 費 1000円
テキスト  エッセイ「人間はどこまで動物か」を無料進呈
定 員 80名
交流会 3000円
問合せ先 中野喬
E-Mail: tak-nakano■jcom.home.ne.jp(送信の際は■を@に差し替えてください)

著 書
昆虫という世界 朝日新聞社 朝日選書 1979年
アメンボのスケート  岩波書店 1982年
動物の体色  東京大学出版会 UPバイオロジー 1983年
犬のことば  青土社 1986年
チョウはなぜ飛ぶか 岩波書店 岩波科学の本
ぼくにとっての学校一教育という幻想 講談社 1999年
動物の行動  東海大学出版会 生物学教育講座5
動物の言い分人間の言い分 角川書店角川ワンテーマ21 2001年
ネコはどうしてわがままか  法研 2001年
春の数え方 新潮社 2001年 日本エッセイストクラプ賞受賞
   第55回NHK杯全国高校放送コンテスト朗読部門課題指定作品
動物と人間の世界認識・イリュージョンなしに世界は見えない
筑摩 書房 2003年
人間はどこまで動物か  新潮社 2004年
人間は遺伝か環境か? 遺伝的プログラム論 文藝春秋 2006年
他に、共著、訳書、共訳、など多数

岩岡理事コメント:
 日高先生は高名な動物行動学者ですが、動物社会から見た人間社会
に関してユニークな意見を発表しておられます。自然界では多くの
生物が長所・短所を持ちながらも、互いに依存して共生しています。
 彼らの行動原理や戦略が、人間の知の共有や創造についても、示唆
に富むことが多いと思います。
日本ナレッジ・マネジメント学会メンバーにとっても有意義なお話です。


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◆第5回 KM AUSTRALIA 2008 参加報告
(日本ナレッジ・マネジメント学会専務理事 山崎 秀夫) 

 本年7月末(21-23日)の間にKM AUSTRALIA 2008 がメルボルンで
開催されたわけですが、筆者は招待され、基調講演のトップバッタ
ーの栄誉を頂きました。参加者数は約100名、半分以上は政府、自
治体関係者と言ったところが特徴でしょうか。

http://www.kmaustralia.com/
http://www.kmaustralia.com/pics/C022_KM%20Aust2008_web.pdf

●豪州のKMの特徴は以下の通りです。
1)対面でのKM
AAR(アフターアクション・レビュー)にPDCA要素を加えた
プロジェクトマネジメント型のKMアプローチが多い。
それにピアーグループやCOP(プラクティス・コミュニティ)の
運動も盛んである。
KPMGの報告や政府道路局の発表などがこれにあたる。

2)ネット型KM
所謂、ナレッジデータベース+ポータルサイト型の伝統的なアプロー
チは根付いている。これは豪州中央政府の統計局の発表が面白かった。

3)ネット型のコミュニティ
米国の講演者が盛んにWeb2関係のツールを紹介していた。豪州では
wikiの利用がもっとも活発である。ブログも使われている。SNSの
職縁活用はこれからと言ったところ。この点は日本の方が進んでおり
一安心した。

4)理論的特長
英国のデーブスノードン(ポスト野中理論、Cynefinモデルの提唱者)
の考え方が結構浸透している。このモデルの話を久しぶりに聞いて
色々昔を思い出した。

●筆者の講演内容(1日目のトップバッター)
「Utilizing Intranet based Social Networking」と言うタイトルで
日本の企業内SNS活用の現状を紹介した。コンセプトは社会心理学
手法によるファシリテーション、及びネットを活用したKMにもっと
も重要な「信頼関係(Trust)」の重視と言ったところを紹介した。
ピアーグループ、エンカウンターグループ、セルフヘルプ・グループ
の各概念と活用、信頼感の醸成には「感情の共有が先、知識、情報の
創造、共有は後」と言う方針を一貫して説明した。また実名のコミュ
ニティのみならずニックネーム・ベースの社交、完全匿名性活用によ
るSOX法への対応、体面での「MEET-UP」との相互交流など色々と説明した。
その後のパネルデスカッションでは、筆者の提起した「トラスト=
信頼」と言う言葉がキーワードとなって全体を支配する空気だった。

●3時間のワークショップを実施(3日目の朝) 略

●最後に
 豪州のKMはインフォーメーションシェアリングとコラボレーション
を主体としながらE-Learningなども交えて展開されている。ネットで
は日本の一部で試行されている「仮想社会サービス」の活用はまだこれ
からである。日本のNTTに相当するテルストラ辺りが手を出しそうな
領域である。

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◆日本人はアジアで最も豊かな国の民ではなくなった
(日本ナレッジ・マネジメント学会理事 国際部長 進 博夫)

 新聞やテレビで大きく報じられてはいませんが、ショッキング
なニュースです。「国際通貨基金(IMF)の調査で、2007年の
シンガポールの1人当たり国内総生産(GDP)が3万5000ドルを
超え、日本の約3万4300ドルを抜くことが明らかになった。」と
日経ネットがシンガポール発のニュースを7月5日に伝えています。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080705AT2M0403705072008.html

つまり、その実感があったかどうかはともかくとして、日本人は
アジアで最も豊かな国の民ではなくなったことがデータで明らか
になったのです。
 このIMFのリストの上位は、大国を尻目に北欧の国々が上位を
占めています。IMDやWEFの競争力ランキングでも同様の結果が示
されています。これらの国々は、シンガポールもそうですが、グ
ローバル化する世界の中で、少ない人的資源・知的資源を生かす
ために、教育、それも生涯教育に力を入れています。
そして、変化する世界に対応し、自国にない人、モノ、金等の様
々な資源を獲得する、というよりむしろ利用するべく、全体最適
かつ合目的的に知恵を絞って今の経済的地位を獲得しています。
 これらの国々は、人の知をベースに国を挙げてのオープン・イ
ノベーションに取り組んだのです。まさに「1人当たり」という
ところが鍵になります。経済のスケールは小さくとも、真の意味
での知識経済大国といえるのではないでしょうか。

 翻って日本は、グローバルなパラダイム・シフトが進行してい
る現在、過去の経済発展の段階で作り込んで来た様々な部分最適、
あるいは自己目的の組織や制度にがんじがらめになりつつ、アメ
リカに次ぎ世界第2位の経済大国、アジアで唯一のG8サミット
参加国、という状況に安住し、内向きの議論を繰り返して、そこ
から抜け出すことが出来ずにいます。
 経済鎖国だとか特定分野ではガラパゴス化といった言葉が頻繁
に聞かれるようになりつつある今こそ、外に向かって開かれた
“Chi”について皆が考え、創意工夫していく時ではないでしょう
か。再び、21世紀の知識経済大国を目指して・・

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◆経済産業新報社より「世界の潮流はクラウド・コンピューティング」
 -ネットに繋がればあらゆるサービスが受けられるバーチャル技術
とスパコン技術が中核-

 IPA(独立行政法人情報処理推進機構・西垣浩司理事長)の
「ソフトウェア未来技術研究会」は毎年、米国に定点観測のため
調査団を派遣している。その関係者によると、「先進企業の多くが、
クラウド・コンピューティングに本格的に取り組み始め、今後の
情報処理の方向を決定付けている。グーグルに続く、新しく大規模
で基盤的なコンピューティング技術の潮流が確実に押し寄せてくる
ことは間違いない」と語り、政府も民間も早急に対応策を検討する
よう呼びかけていた。同研究会は、昨年も調査団を派遣し、政府に
「SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」への対応を提言
した。
 今年も6月初旬、クラウド・コンピューティングの調査のため、
米国の先進企業11社を訪問、調査した。クラウド・コンピュー
ティングとは、応用ソフトや表計算などあらゆるIT資源がネット
ワーク上のクラウド(雲)の上にあり、ユーザーはネットに繋がる
端末さえあれば、あらゆるソフトウェアサービスやデータがそこか
ら受け取れるという仕組みだ。
 中でも注目されるのは、急成長し強く印象に残った企業として
“Akamai”を挙げていた。「全世界70カ国、750都市に約3万
台のサーバーを配置、世界最大のオンデマンド分散コンピューティ
ングプラットフォームを提供している。マイクロソフトのアップデ
ートやANAがWebサイトで利用している。
検索情報が入ると、サーバーの最適ルートを探し出し、ユーザーの
必要な情報をWeb上に最小時間(4秒ルール)で提供するもの。これ
らサービスを彼らはクラウド・コンピューティングと呼んでいた。
 同社はわが国にもすでに1500台のサーバーを設置しており、
「今からこのインフラに対抗するのは得策でない。むしろそのプラ
ットフォームを利用して各種アプリケーションやユーザーサービスを
提供する方が有効である」としている。ソフトも原則オープンソース
となっているようだ。
 また、グーグルやIBM、アマゾン、セールスフォース.comも同様
に、クラウド・コンピューティング技術を基盤とした各種サービスを
開発者向けのビジネスとして提供し始めている。
「これらの要素技術は、?バーチャリゼーション技術と?大規模スー
パーコンピュータ技術のブレークスルーの延長線上にある技術である。
かれらのような超大規模な情報処理を行っている企業本来の業務遂行
上の必要性から生まれてきているサービスであることは間違いない」。
 すでにIBMは欧州委員会とクラウド・コンピューティングの研究
協力を2月からスタートさせ、EUはこのプロジェクトに約27億円
の資金を提供する。
 わが国もこのクラウド・コンピューティングの動きに早急に対応し
ていかないと世界の情報処理の流れにまた後塵を拝する可能性がある。
産官学とも早急な対応策を呼びかけて行きたい」と語っていた。


経済産業新報社
http://www.keizaishinpo.jp/

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◆メルマガ「クリエイジ」第208号 2008年7月22日より

目次
1.ビジネス書「美徳の経営」書評
2.人生で感銘を受けた本
[編集後記]

1.ビジネス書「美徳の経営」書評 小谷允志

○「美徳の経営」野中 郁次郎著 紺野 登著
2007年5月 エヌティティ出版 価格:1,995円(税込)
  http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4757121970

 本書の著者の一人である野中郁次郎は、カリフォルニア大学
バークレー校での後輩で一橋大の教授仲間でもある竹内弘高
との共著「知識創造企業(1996)」(この本自体が元々英語で書か
れたものを日本語に翻訳して出版されたものである)で、日本
独自のナレッジマネジメント理論を打ち立て、世界的な名声を
博した人物である。

 同書では、知識をマニュアルのように形式言語によって表わす
ことのできる「形式知」と一人ひとりの体験に根ざす個人的な知識
で形式言語で表すことが難しい「暗黙知」とに分け、この二つの知
の相互作用を通じてより高度な組織の知が創られる、という「組織
的知識創造」の理論(SECIモデル)が提起されていた。

 本書「美徳の経営」は、その野中が紺野登と共著で著した新作
で、いわば「知識創造企業」で打ち立てたナレッジマネジメント理論
を、その後の環境変化に対応すべく新しいコンセプトで進化させた
ものである(紺野とは知識経営に関するいくつかの著作を共同で
執筆している)。

 その背景には超高齢化、消費者の多様化、グローバルな市場
環境の複雑・不確実な関係、貧困問題、社会的価値の重視、
先進諸国の知識社会化などがあり、日本企業のみならずグロー
バルに従来の経営や戦略では対応しきれなくなっているという
事情がある。そこで、このような新しい時代に求められる経営の
資質として「美徳」という概念を提起したのが、この著作である。

 この場合の「美徳」とは単純に道徳や倫理観のことをいっている
のではなく、日本企業がその知の伝統を生かし、持続的な発展を
遂げるために鍵となる不可欠な概念と捉えられており、経営に
おける高次な判断やイノベーションなどの実践に係る卓越性の
追及であるところに特長がある。そして、このような実践に結び
つける知が高度な暗黙知としての「賢慮」(フロネシス)であり、
これこそが日本企業の暗黙知を基盤とする知の系譜に連なる
ものだという。

 この本の核心は「賢慮」型リーダーつまり企業トップのあり方を
説いた部分だが、そこに実例として登場するのが本田宗一郎、
資生堂の福原義春などの個性的な経営者である。興味深いのは
彼らが、現場に深く身を置きながら、独自の哲学や理念といった
ビジョンを重視し、現実の中に普遍性、卓越性を追求した点である。
従来、欧米の経営者に比べ、日本企業のトップに欠けるものは
理念やビジョンであると思っていたのだが、必ずしもそうではなく、
日本企業の実践知の系譜の中に優れた例があることが分かった
のは収穫だった。

2.人生で感銘を受けた本  小谷允志

○「ある広告人の告白 新版」デイヴィッド・オグルヴィ著
  山内あゆ子訳 2006年6月 海と月社 価格:1,890円(税込)
  http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4903212033

 この本は40年以上も前の1964年にダヴィッド社から翻訳が出て
おり、私がまだ駆け出しの営業マンだった頃、感激して読んだ記憶
がある。著者のデイヴィッド・オグルヴィは、かってアメリカ広告業界
のメッカ、マディソン街で最もクリエイティブな広告会社社長の一人
として有名だった人物で、この本は彼の豊富な経験に基づく広告
哲学や広告作りのノウハウを軽妙な語り口で綴ったものである。

 今回、アメリカで原著の新版が出版されたのを機に別の出版社
から新訳が出たので改めて読み直してみた。長い間、広告業界の
人々の間でバイブルといわれて来た本だけあって、40年を経ても
全く古さを感じさせず、むしろ新鮮な感じがするくらいである。敢えて
この欄で紹介する理由は、この本が単に広告作法の教科書として
優れているだけではなく、幅広くマーケティングや企業経営について
も示唆に富んだ部分が多いからである。

 例えば、著者の興した広告会社のユニークな企業文化がそれで
ある。これには次のようなものが含まれる。
*社員を一人の人間として扱い、それぞれの才能をフルに発揮
できるように手助けをする。
*広告する製品は、その広告に携わることが誇りに思えるような
ものでなければならない。
*何よりも消費者に対して正直な人を評価し、クライアントに対して
は、自社の利益にこだわらず、クリエイティブな機能を果たすことを
最優先する。
*仕事をする各国の道徳文化に反することなく、クライアントの商品
を売るように努める。
*社内の駆け引きやごますり、えこひいきを憎み、昇進を決める
には人格を最優先する。
*自分の仕事にプライドを持つが、常に成し遂げたことに満足する
ことなく、向上につなげる。

 そしてこの企業文化を地で行くエピソードとして、フォードから新車
の広告コンペに誘われた時、あまりにも取扱金額が大きいため、
自社の独立した自主性が保てなくなるとの理由で断った例や前の
広告会社よりもいい広告ができそうにないという理由でニュヨーク
タイムズの広告依頼を断った例が語られている。

 何よりも私が感銘を受けたのは、この本が生き馬の目を抜くと言わ
れたアメリカ広告業界において、単純な儲け主義に走らず、自らの
経営哲学(むしろ"経営の美学"と言うべきか)を貫きながら成功を勝ち
取った男の生きざまの物語となっている点にある。偽装やごまかしなど
利益を上げるためには手段を選ばず、不祥事が後を絶たない今の
日本の企業社会にとって、この本は一服の清涼剤となろう。
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小谷允志(こたに まさし)略歴
1936年、中国大連生まれ。但し、育ったのは神戸で兵庫高校を経て
神戸大学法学部卒。(株)リコーを経て、現在、文書・記録管理の
コンサルティング会社、日本レコードマネジメント(株)レコードマネ
ジメント研究所所長。記録管理学会会長、ARMA(国際記録管理者
協会)東京支部理事。
著作:「情報公開制度の新たな展望」(共著)((財)行政管理研究
センター、2000年)、「文書管理と情報技術」(共著)((社)日本経営
協会、2003年)、「トータル・ファイリングシステムとe文書」(共著)
((社)日本経営協会、2005年)、「入門:アーカイブズの世界」(共訳)
(日外アソシエーツ、2006年)。論文等:行政情報システム研究所発行
の雑誌"行政&情報システム"に「文書と記録のはざまで」を2002年
11月号より連載中。他論文多数。
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[編集後記]
 小谷允志氏は朝日崇氏(第98号、第192号)の紹介で執筆を快諾いた
だいた。1987年「創造の経営」プロジェクトで野中郁次郎氏にお会いした
ことがある。「美徳の経営」「賢慮型リーダ」を目指し、夢は大きく、歩み
は着実に、一歩一歩の実践しかないもかも知れない。
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今日のコラム「5つの安心プラン」
 政府が社会保障分野で緊急に取り組む対策として今月末に公表予定
の「5つの安心プラン」の厚生労働省素案が明らかになった。テーマは
(1)高齢者政策、(2)医療、(3)子育て支援、(4)非正規雇用、(5)厚生
労働行政の信頼回復。高齢者政策では、希望者全員が65歳以上まで
継続雇用する仕組みなどの支援や、60歳から64歳の働く高齢者が給与
と年金額の合計が月28万円を超えた場合は年金額を減額する在職年金
制度を見直す。
 厚生労働省の職員は5.2万人、厚労省関連の独立行政法人は14あり
職員数は7万人、さらに関連公益法人は7500(平均10人としても7.5万人)、
一般会計予算も22兆円に達し一般歳出の47%を占める。保険料も加えて
賄っている給付全体は90兆円(国民一人当たり69万円)に達する。年金
一元化や医療保険一元化、歳入庁(税金と保険料の一元徴収)により、
業務効率化と少数精鋭化を図り、ワンストップサービスを提供することが
国民の安心に繋がろう。

「おぼつかな土用の入りの人心」杉風

(推薦書籍)
2015年の社会保障制度入門?社会的連帯の強化と自己決定の尊重
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=488990123X
自立支援と社会保障?主体性を尊重する福祉、医療、所得保障を求めて
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4817813512
社会保障年鑑 2008年版
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4492031375
年金制度は誰のものか
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4532490308
社会保障と日本経済
?「社会市場」の理論と実証 総合研究現代日本経済分析 1
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4766413873
はじめての社会保障 第6版?福祉を学ぶ人へ 有斐閣アルマ
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4641123543
政府の大きさと社会保障制度?国民の受益・負担からみた分析と提言
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4130402323
社会保障の明日?日本と世界の潮流と課題
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4324080739
改革の哲学と戦略?構造改革のマネジメント
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4532353033

コラムのバックナンバーは以下からアクセスしてください。
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