メールマガジン

No.6 2007年11月5日発行

   
 日本ナレッジ・マネジメント学会メールマガジン 第6号

 

☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★☆☆☆☆☆☆★★☆☆★
 日本ナレッジ・マネジメント学会メールマガジン
 第6号   2007/11/5
☆☆☆★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★☆☆☆☆☆☆★★☆☆★

編集・発行:日本ナレッジ・マネジメント学会(KMSJ)事務局

□ 目次

[学会からのお知らせ]
◆第9回アジア・パシフィックKMフォーラム(in香港)のご案内その2
(日本ナレッジ・マネジメント学会理事 国際部長 進 博夫)

◆東京財団主催「経営と戦史にみる『撤退の研究』」開催のご案内
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

◆e-LearningConference2007 Winter開催のご案内
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

◆日経新聞主催「日経知的資産フォーラム2007」に協力します
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

◆学会賞受賞候補者の推薦についてお願い
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

◆第11回年次大会について
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

[学会員からの寄稿、活動報告]
◆TKF2007 French Riviera参加報告
(日本ナレッジ・マネジメント学会理事 国際部長 進 博夫)

[連載記事]
◆KM先進企業訪問シリーズ:アサヒビール(株)編
(企業評価部会 松本 優)

[転載記事]
◆メルマガ「クリエイジ」第171号 2007年10月29日より


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◆第9回アジア・パシフィックKMフォーラム(in香港)のご案内その2
(日本ナレッジ・マネジメント学会理事 国際部長 進 博夫)


 メルマガ第4号でご紹介したとおり、11月末(11/28-11/29)香港で
"9th Asia Pacific Knowledge Management Forum”が開催されます。
 香港KM協会で長年活動されており、日本KM学会の評議員もお願い
しているウォルトロート・リッターさんからフォーラムの案内に続
き、プログラムが届きました。

 フォーラムのテーマは、
"Preparing for the Future ?Intelligence Gathering and Sense-making"
です。

 激変し不確実なビジネス環境の中、戦略的意思決定のために、あ
ふれる情報から如何に意味を引き出し、知恵を活用し、将来への予
測を組織のKMに組み入れていくか、について議論しようという、な
かなか興味深く、チャレンジングなものです。

 学会関係者では青山学院大学大学院名誉教授の石川昭先生が講演
されます。

 開催プログラムの詳細は学会ホームページの下記urlからダウン
ロードして下さい。

http://www.kmsj.org/home/archive/APKMC2007-CFP.pdf

 興味のある方は、11月末に香港にお出かけの際ぜひご参加下さい。

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◆東京財団主催「経営と戦史にみる『撤退の研究』」開催のご案内
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

 経営においても、また国家戦略においても的確な情勢判断、迅速
な決断とタイミングのよい対策の実行がなによりも大切です。いか
なるケースにおいても、環境の制約というよりも人間の問題に帰着
し、結局は経営者、指導者の能力の優劣にかかってきます。事態の
特質がなんであるのかを看破し、当初の企画の継続的な実現に見切
りをつけることができるのかどうかが指導者の実力なのです。

 そこで、今回の東京財団フォーラムは日本ナレッジ・マネジメン
ト学会理事長で公認会計士の森田松太郎氏と、前・防衛大学校教授、
元一等陸佐の杉之尾宜生氏に、それぞれの専門分野である企業経営
と戦史研究の観点から、過去の歴史や実例に基づいて望ましい戦略
的な撤退の方法についてお話しいただきます。

日時:2007年12月4日(火) 18:30?20:30
場所:日本財団ビル1Fバウ・ルーム(東京都港区赤坂1-2-2)
定員:200名
参加費:無料(事前申込制)
申込方法:以下URLの参加申込フォームよりお申し込み下さい。
http://www.tkfd.or.jp/event/detail.php?id=65

問合先:東京財団研究部広報(03-6229-5504)

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◆e-LearningConference2007 Winter開催のご案内
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

 日本イーラーニングコンソシアム(eLC)では、来る12月6日(木)
?12月7日(金) の2日間、青山学院大学総合研究所ビルにおきまし
て「e-LearningConference2007 Winter」を開催いたします。

 今回の「e-LearningConference2007 Winter」は、広くeラーニン
グユーザーの視点、e-ラーニングコンテンツの作成・開発者の視点、
教育・研修を企画される方の視点等、多岐に渡ってトラック単位に
テーマを設定し、1日を通してじっくりと学んでいただきます。
 なお、12月7日の「特別セミナー」にて、当学会の森田理事長が
講演をすることとなりました。
 開催の詳細は、近日中に日本eラーニングコンソシアム公式サイト
( http://www.elc.or.jp/ )にて掲載される予定となっております。


   ◆◆「e-LearningConference2007 Winter」開催概要◆◆

■開催日程:2007年12月6日(木)?12月7日(金)  11:00?16:50

■会場:青山学院大学総合研究所ビル(渋谷区青山キャンパス内)

■主催:特定非営利活動法人日本イーラーニングコンソシアム

■参加対象:教育システム開発担当者・教育コンテンツ開発担当者・
企業内教育担当者教育サービス提供者・教育機関・研究機関 など

■テーマ

1)満足度UPをめざすeラーニングの研究
2)eラーニング活用、導入事例
3)かんたんSCORMプログラミング
4)インストラクショナルデザイン
5)事業に貢献するeラーニング
6)実践eラーニングコンテンツ製作

■日本eラーニングコンソシアム公式サイト
http://www.elc.or.jp/

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◆日経知的資産フォーラム2007への協力について
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

 日経知的資産フォーラム2007「企業価値を高めるストーリー」が
2007年11月7日(水)にザ・プリンス パークタワー東京にて開催
される運びとなり、当学会も協力させて頂くこととなりました。
開催の詳細は以下URLをごらん下さい。

■日経知的資産フォーラム2007公式サイト
http://www.nikkei-iabmf.jp/index.html

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◆学会賞受賞候補者の推薦についてお願い
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

 今年度の学会賞の候補者推薦を下記の要領で頂きたいと思います。
先月に引き続き、会員各位のご協力をお願い致します。


I 受賞対象の著書
ナレッジ・マネジメントに関する優れた著書で、2006年10月1日
より2007年9月30日の期間に公刊されたもの。

II 受賞内容
著者に対して賞状ならびに賞金。

III 推薦の方法
自薦および他薦とし、他薦の場合には出版社を含む。

IV 審査
推薦著書について、学会賞選考委員会において審査する。

V 受賞者の発表
申し込み者に、直接通知する。

VI 申し込み方法・問い合わせ
著書に推薦者の住所氏名と推薦の理由を記した書面を添付の上、
下記事務局へ2007年11月30日(必着)までに送付する。
原則として返却しない。

日本ナレッジ・マネジメント学会 事務局
〒103-0022
東京都中央区日本橋室町3-1-10田中ビル
(株)日本ビジネスソリューション内

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◆第11回年次大会について
(日本ナレッジ・マネジメント学会事務局)

 来年の当学会年次大会は、平成20年3月29日(土)、東京理科大学
にて開催することとなりました。プログラムなど開催内容の詳細は、
追ってこのメルマガに掲載いたします。

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◆TKF2007 French Riviera参加報告
(日本ナレッジ・マネジメント学会理事 国際部長 進 博夫)

・TKF2007の概要と所感

 今回のTKF2007の特徴は、CERAMがKMSJを招き、ヨーロッパを中心
としたKM関係者にも声をかけて実現した比較的コンパクトな、参加
者による実質的討議中心のフォーラムという印象でした。聴衆が前
2回よりは少なかったのですが、発表者は30人を越え、中でも日本
からは学会員および、TKF参加の呼びかけに応じて頂いた方々を含め、
10人の発表者が参加しました。すべての発表が基調講演を含め、持
ち時間30分という民主的なフォーラムでした。
 プログラム詳細はデータ編にあるホームページをご参照下さい。

 1日目の午前中はCERAMのアリス・ギヨン学長、そして森田理事長、
さらにはその朝車で2時間かけて駆けつけて頂いた小林在マルセイユ
日本総領事など来賓のご挨拶がありました。
 それに続いて、今回の推進役であるジャンイヴ・プラクスが、KM
?場―劇場―歌舞伎の流れで、アメリカの歌舞伎と称し、マイクロ
ソフトのバルマーCEOが社内の決起大会か何かでしょうか、壇上で
奇声を上げて踊り狂うというレアもののビデオを見つけてきて、日
本の歌舞伎(これも歌と踊り中心の特殊なものでしたが)と比較す
る形で紹介し、会場は大爆笑。一気に空気が和みました。

 基調講演では、1日目午前の高梨副理事長に続く横田ネッツトヨタ
南国会長のますます磨きのかかった経営実践についての講演、そし
て2日目午後では、KMの世界で有名な世界銀行のスティーブ・デニン
グの実にユーモアあふれる巧みな講演が特に聴衆を引きつけていた
ようです。

 1日目の午後から2日目の午前中にかけては6?7人ずつのワークシ
ョップが4つ、2つずつパラレルに走りました。日本人は平均2人ず
つ各ワークショップに参加していたことになります。ワークショッ
プの中での質疑時間が限られているため、休憩時にも議論が活発に
行われていました。プラクスも言っていましたが、TKFは多様な文化
的背景を持つ人たちの集う素晴らしい「場」であり、集まった人た
ちが非常に熱心にお互いにコミュニケートしていたのが印象的でした。

 想い起こせば1年前、ポワティエ大学教授で現在ブラジルの仏伯共
同プロジェクトで活躍中のピエール・ファイヤールを通じてパリで
KMコンサルタント会社を経営しているジャンイヴ・プラクスにフラ
ンスでの開催を打診し、推進役承諾の返事をもらってこのプロジェ
クトがスタートし、学会の何人かの人たちとともにフランス側との
準備を進めました。
 その後、様々なことがありましたが、CERAMの皆さんとプラクス、
そして参加して頂いた皆さんのご協力により無事第3回TKFが終了し
ました。私としてもささやかながら国際部長の役目に一区切りつけ
ることが出来たことを大いに感謝しております。

 個人的には、自分の講演の他に、ワークショップの議長、最後の
ラップアップでのコメント等のお役を引き受け、2日間息が抜けま
せんでした。その中で嬉しかったのは、何人かの人たちから私のプ
レゼンテーションについて評価して頂いたことです。
 特にハーバード・ビジネス・スクールのエグゼクティブ・ディレ
クター、マリー・リー・ケネディが、カンヌ映画祭会場のすぐ近く、
ホテル・マジェスティック・バリエールでの華やかなディナーのあ
と、わざわざ近寄ってきて、「あなたのプレゼンテーションはとて
も良かった。あなたがきちんとよく考えていることのわかる一貫し
たとてもいい内容だった」と伝えてくれたのは嬉しかったし、私の
今後の活動の大きな糧になるものでした。

 私はドイツでのICサミットにも参加しましたが、ドイツでも経済
が活況であるバーデン・ヴュルテンブルグ州、そしてTKFの開催され
たニース近郊、帰りに立ち寄ったパリと、久しぶりにヨーロッパの
現状に触れ、ホームページに掲載されているPersonal Commentにも
書きましたが、世界に共通したグローバリゼーションの現実を再認
識し、たくさんの知的レベルの高い人たちと意見交換が出来、触発
され、きれいな景色、おいしい食べ物を満喫し、とても充実した日
々でした。

 来年のTKF、そしてその次のTKFに向けた活動はすでに始まってい
ます。さらに多くの皆さんが、自らの活動を広げるためにも、この
活動に何らかの形で参加されることを大いに期待しています。

・TKF2007 データ編
 ・ 日時  2007年9月27-28日
 ・ 場所  CERAMビジネススクール
        (ニース近郊ソフィア・アンティポリス)
 ・ 登録者数 124名
 ・ 参加11ヶ国と参加人数内訳
 フランス:90、日本:14、ベルギー:7、アメリカ:4、UK:3、
 イタリー:2、スイス、オランダ、香港、ブラジル各1
 ・ 職業別 学者/研究者:50%、企業:30%、学生:20%
 ・ 男女別 女性:35%、男性:65%
 ・ 事前イベント 9月26日 IBM eビジネス・ソリューショ
    ン・センター訪問

 その他、TKFプログラム、発表者プレゼンテーション、フォーラム
写真等、情報満載のホームページをご参照下さい。

http://www.tkf2007.com/


・CERAMとその位置付け
 フランスは早くからエリート教育、専門教育に力を入れていた国
で、日本やアメリカの大学の上位に大学院がある、というシステム
とは異なり、いわゆる大学(University)とは別のコースとして、
分野を細かく分類した高等教育機関が古くから発達しています。そ
のルーツはフランス大革命以前に遡ります。現在は、いわゆるグラ
ンゼコール(grandes ecoles)と呼ばれる学校を中心として修士、
博士等を育成する高等教育機関が約200校あります。

 CERAM(Center of Education and Research Applied to Management)
はコート・ダジュール地域のテクノポリス開発にあたり、44年前、
設立されたマネジメントに特化したポスト・グラデュエート、大学
院クラスの高等教育機関です。TKFのホステス役を務めて頂いたアリ
ス・ギヨン学長は、CERAMをInternational Business Schoolと定義
しています。以前はESC(Ecole Superieure de Commerce高等商業学
校、フランス各地にある) Niceと呼ばれていました。学生数は約2,000、
うち外国人は60カ国から550人が学びに来ているそうです。

 CERAMは、グランゼコール・プログラムであるマネジメント修士の
他に、スペシャリスト・プログラムとして、Economic Intelligence
and Knowledge Management(企業向け戦略的経済情報分析およびナ
レッジマネジメント)の修士コースを持ち、フランスのこの分野で
3位にランキングされています。他に観光マネジメント修士課程も
フランスで3位という評価を得ているのが特徴的です。

フォーラム前日の企業訪問
 26日の夕刻、希望者10数名はニースの北の山麓にあるIBMのeビジ
ネス・ソリューション・センターを見学しました。参加者の集合場
所となったCERAM自体、小高いところにありますが、目的のセンター
は、いったんニースに下り、さらに山の中腹に九十九折の道を駆け
上がって小1時間という南仏特有のロケーションにあります。
 到着は勤務時間を過ぎた19:30ごろ。夏時間なのでまだ明るく、
センター長のジャック・グロス氏が一人で出迎え、概要を説明し、
施設を案内してくれました。
 最後に上質のシャンパンとカナッペでもてなしてくれたのは、さ
すがフランス、の感ですね。

 このセンターは、企業の経営者レベルを迎えて企業の抱える問題
解決を支援することがミッションです。そのために、大小の会議室
とともに、注力しているロジスティクスやサプライチェーンを中心
に、客先のあらゆるニーズに応えることが出来るというIBMの力を誇
示するかのように、多彩な業種にわたり多様な現場のソリューショ
ンを可視化展示していました。
 施設が素晴らしいだけに、コストセンターとしてこの変化の激し
い環境下で最先端の展示を維持していくためにはIBMといえどもかな
りの努力を要するのではないか、という印象を持ちました。

以上

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◆KM先進企業訪問シリーズ:アサヒビール(株)編
(企業評価部会 松本 優)

 KM学会の活動の一環として、KMの進んだ企業を訪問調査します。
初回はアサヒビール(株)さんを訪問しました。
日時: 2007年10月18日 13:00-15:00
訪問者:企業評価部会メンバーを主体に13名
対応者:奥山 博 理事 業務システム部長、松田様、岩間様、鷲森様
内容: 会議室でプレゼンテーションと質疑応答
概要:
 はじめに奥山理事より会社の紹介、背景、KMシステムの概要説明
 があり、ついで松田様から全社ポータルの詳細な紹介があった。
 さらに続いて以前から有名な営業情報玉手箱(営業情報カード)の
 進化した営業ポータルについて担当の岩間様、鷲森様より説明が
 あり、最後に再び奥山理事からの補足とまとめ、活発な質疑応答
 で終了。
感想: 全社ポータルの活用が凄い!

探訪記の全文は学会ホームページに記載しました。
http://www.kmsj.org/home/archive/kigyo-homon-asahibeer.pdf 

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◆メルマガ「クリエイジ」第171号 2007年10月29日より

目次
1.ビジネス書「ベンチャーキャピタリスト」書評
[編集後記]

1.ビジネス書「ベンチャーキャピタリスト」書評 近藤一仁

○「ベンチャーキャピタリストの実務 決定版」長谷川博和著 
東洋経済新報社 2007年6月
  http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=4492654011

 本書は、野村総合研究所の後輩で、かつて自動車産業アナリストとして
名を馳せ、ジャフコ出向中においては投資調査部で研鑽を積み、1996年
に35歳の若さでグローバルベンチャーキャピタル(http://www.gvc.jp )を
設立した長谷川博和氏が著した本格的なVC実務書(初の単著)である。
 
長谷川氏も早や41歳、油の乗ったベンチャーキャピタリストとして、VC
投資、経営支援、講演、教育の場など多方面で活躍しておられる。

かつて、筆者が「一吉証券経済研究所」(現 いちよし経済研究所)の
常務取締役時代にお誘いし、野村総合研究所 旧東京研究本部のOB
仲間でまとめた「21世紀に挑むベンチャービジネス&キャピタルの起業
戦略」(清文社 1995年10月)にも参加していただき、ある章を執筆して
いただいたことが懐かしく思い出される。
 
さて、今年の7月に出版された本書は、長谷川氏が早稲田大学大学院
アジア太平洋研究科において提出した博士論文「日本におけるベンチャー
キャピタルのIRR向上の研究」がベースになっている。博士論文の一部が、
2006年11月に第1回日本ベンチャー学会 清成忠男賞を受賞したことから
も、本書の出版はその研究成果をより広く世に問うものとして非常に意義
深いものがあると言えよう。
 
本書の要旨は次の通りである。産業の活性化のためにベンチャー企業
の活躍が期待される中、リスクの担い手として「ベンチャーキャピタル」の
役割が増大している。このベンチャーキャピタルが積極的にベンチャー
企業を支援していくためには、必要十分なファンド資金を継続的に調達
する必要がある。

しかし、日本ベンチャーキャピタルのパフォーマンスを見た場合、欧米
ベンチャーキャピタルに比べて劣っている。この様な状況がベンチャー
キャピタルに出資をしようとする投資家資金の欧米ベンチャーキャピタル
へのシフトをもたらし、その結果として日本のベンチャーキャピタルに必要
十分な資金が供給されず、ひいてはベンチャー企業へのリスクマネーの
供給が制限されることに繋がっている。ベンチャー企業のエネルギーと
なるリスクマネー供給を潤沢にする上でもわが国の投資パフォーマンス
の向上が重要な鍵を握る。

それではどのようにしたら日本ベンチャーキャピタルの投資パフォー
マンスは向上するのであろうか?この基本的な問いかけに対して、著者
は理論的、実証的にアプローチすることで、日本のベンチャーキャピタル
業界の一層の飛躍のために貢献しようと試みている。

したがって、本書の最大の狙いは、「日本のベンチャーキャピタルの
投資パフォーマンスを向上させるためにどうしたらよいか」という課題
解決のための手法を示そうとしているところにある。本書は、欧米の
ベンチャーキャピタルを中心に検証されてきた投資パフォーマンス
向上に関する先行研究(投資期間の研究、シンジゲーションの研究、
バリュエーションの研究、段階的投資の研究、EXIT戦略の研究、
オーナー系ベンチャーキャピタルの研究、専門性の追求など)の結果
が日本のベンチャーキャピタル市場においても適用できるかどうか、
その項目や優先順位がどのように異なるのか、という観点から展開
している。

すなわち、ベンチャーキャピタルの置かれている事業環境が欧米と
異なる日本においては、欧米の先行研究とは異なる要素もあることを
前提として、欧米の先行研究の結果が日本のベンチャーキャピタルに
どの程度、適用できるかを独自データにより分析し、結果として、日本
で投資パフォーマンスを高めるための手法を示している。

本書の出版意義は、これまで日本においてベンチャーキャピタル投資
の中でも投資パフォーマンスに焦点を当てた統計的な分析がほとんど
なされてこなかった中で、初めて統計的な分析を実施した点、そして
ベンチャーキャピタルの中でもプロのベンチャーキャピタリストとして活動
している5人のケーススタディを行うことで、利害関係者とベンチャー
キャピタルとの関係性を詳しく検証した点にある。この2点において初の
画期的な労作であるといえよう。

日本のベンチャーキャピタルに関する統計分析は、投資案件ごとの
詳細な投資データやVC協会データが不足しているため解析は非常に
難しい。唯一、アンケートに基づく投資パフォーマンス(IRR)統計を発表
しているのが、経済産業省の外郭団体である(財)ベンチャーエンター
プライズセンター(VEC)だが、それもファンド開始年毎の平均値、最大値、
最小値などの基本データを出しているだけで、投資パフォーマンスの向上
のための要因分析を行うには不十分なデータである。そこで長谷川氏は、
独自データを入手する工夫を凝らし、これまで分析できなかった日本の
ベンチャーキャピタリストの投資行動特性を、欧米のベンチャーキャピタル
と比較できるようにした。本書は、そうした分析等をふまえた初の本格的
な研究成果をまとめたものである。

さらに、ベンチャーキャピタルという組織ではなく、日本を代表する
ベンチャーキャピタリスト(ベンチャーキャピタリストとして活躍している
個人は日本では未だ数人に過ぎないにもかかわらず)に複数回・長時間
にわたるインタビューを行っている。そのケーススタディを通して、その
行動特性を洗い出し、ベンチャー企業とベンチャーキャピタリストとの
「協創関係の構築仮説」の導出を行なっている。証券アナリストと同様に、
システマチックな育成が困難なベンチャーキャピタリストの輩出に向けて、
本書は「できるキャピタリスト」の条件を明らかにしている実務書としても
異彩を放っているといえよう。
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近藤一仁(こんどう かずひと)略歴
 1948年東京生まれ。71年横浜市立大学卒業。同年(株)野村総合
研究所入社。東京研究本部、大阪調査部、投資顧問部、ニューヨーク
事務所(現NRI?アメリカ)を経て、91年 NRI?Deutchland GmbH社長。
94年野村総合研究所役員待遇を経て、(株)いちよし経済研究所へ転籍。
常務取締役、専務取締役、専務研究理事、2001年より代表取締役社長、
その後、理事長、いちよしIR研究所の社長、顧問。2007年8月に宝印刷
(株)の常務執行役員(IR企画室、Web運営室担当)、および連結対象
子会社である(株)フィナンシャルメディア代表取締役社長に就任。
日本証券アナリスト協会検定会員、証券経済学会正会員、日本経営
倫理学会正会員、日本IR協議会IR優良企業選考委員(歴任)、ジャス
ダック証券取引所IR優良企業選考委員長(歴任)、文京学院大学経営
学部(大学院)客員教授(歴任)、現在、立命館大学 経営学部 非常勤
講師などを務める。
 著書に、「IR入門」(東洋経済新報社 1997年 共著)、「上陸する巨大
ネット市場『ナスダック』」(経済法令研究会 1999年、単著)、「図解IRが
わかる本」(PHP研究所 1999年 共著)、「投資家・アナリストの共感を
よぶIR」(東洋経済新報社 2001年 共著)、「アナリストの仕事」(日本
能率協会マネジメントセンター 2002年 単著)など。
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ご案内
○「企業価値向上のための経営情報戦略 IRの本質について」
近藤一仁著 中央経済社 2007年10月
http://www.creage.ne.jp/app/BookDetail?isbn=450239520X

 筆者のIR関連書としては4冊目となる著作である。これまでのIRの本は
全て「いちよし経済研究所」に在籍中に執筆したもので、夏休み・正月
休みを返上して書き続けたものだった。本書は、昨年12月に体調を崩し、
経営責任を全うできないと判断した結果、13年間勤務したいちよし経済
研究所の理事長、いちよしIR研究所の社長を辞し、顧問としての静養
期間(2006.12?2007.6)中に書いたものである。勿論、この期間の前半は、
なかなか筆が進まなかったが、後半で一気に書き進めることができた。
本書の内容は「第?部 企業価値の原点」と「第?部 IRの本質?企業
価値を訴求は?」を合わせて全11章から構成されている。

今、「企業価値」と題された著作は、「クリエイジ」によれば20冊以上に
達している。勿論、純粋にアカデミックな企業価値評価(Valuation)に
沿ったものもあるが、多くはM&Aに関連したものか、あるいは内部統制・
コンプライアンス、財務戦略、マーケティングなどに関連したものである。
本書は、特にM&A問題に焦点をあてて、「企業価値論」を展開しようと
意図するものではないが、当然ながら昨今の情勢からM&A問題は
避けて通れるものではないと認識して執筆にあたった。

ただ、「企業価値」に関する議論はまさに百家争鳴であり、かねてより
の持論として主張すべきところは強調したいと思って執筆した。結論を
急ぐようだが、「企業価値」は「株式時価総額」では測れないものであると
確信している。

長らく証券アナリスト、後年はIRコンサルタントとして数多くの経営者
とお会いする機会やインタビュー活動を行ってきた筆者としては、「企業
価値の原点」に立戻り、「ヒト=人財」、「モノ」、「カネ」、「情報」、「ブランド
=知財」、そして「経営倫理」という6つの要素を通じて「真の企業価値
とは何か」を考える必要があるということを本書の根幹に据えたいと
思って執筆した。

また、自社の「企業価値」を訴えるときに、経営情報戦略上の要諦と
して情報開示(ディスクロージャー)とIR(インベスター・リレーションズ)
の本質を踏まえ、激しさを増すグローバル企業競争の中にあって単なる
「株価追求経営」に陥ることのないようにというメッセージを経営トップに
対して発信したいとの思いも強かった。いわゆる「企業価値追求経営」
が大切である。

したがって、本書はまず第1章、第2章では「企業価値」に対する様々な
解釈を整理することから始めて、第3章で持論である「企業価値向上の
原点」という本質的な内容に立ち戻り、さらに、企業価値を変動させる
要因、特に人財やブランド力など「非会計情報」の重要性にも触れ、
第4章以降で、我が国ではなかなか本質が理解されない「企業価値」と
「経営情報戦略としてのIR」の関係に触れてみた。特に、これまでにも
IR関連著作を実践スタッフ向けには書いてきたが、今回、後半の第?部
の中心となる第8章では経営トップに焦点を当てて、IRの本質論を訴えた。
第10章では、近年のIR活動において、どの企業でも公式Webサイトは
欠くことのできないツールになっているが、経営戦略とその対外的コミュ
ニケーションという観点から、最近、話題となったケースとして周知の
王子製紙、北越製紙、HOYA、ペンタックスも含め、数多くの企業のWeb
サイトを通じて各社の「経営情報戦略」を比較し評価分析を試みた。

つまり、出来る限り抽象論に終わらせないために、企業価値向上とIR
の本質を考える上で適切と考えられる企業を選び、ケーススタディと
して26の我が国の代表的企業を取上げてIR活動を各社のWebサイト
から「企業価値向上と経営情報戦略」を分析評価および類型化する
作業を行い、最後に「補論」として直接、経営トップ(フジシールインター
ナショナル 竹田健執行役社長)へのインタビューにも取組んでみた。

これまで筆者は証券アナリストの仕事に携わってきたが、当然ながら
今回の試みのように一人のアナリストが業種の異なる26の企業を担当
するということは現実にはほとんどあり得ない。最近のアナリストは
一生涯一業種というケースもあり得る。それだけ専門的な仕事になり
つつあると言ってよい。

今回の26の企業は筆者自身がかつて担当した業種や企業も半分
くらいはあるが、全く経験のない業種や企業も含まれている。逆に
言えば、その企業に深い理解や特別な知識がなくても客観的にWeb
サイトを評価できるモデルを数値的に明らかにしてみたかった。評価
の精緻さは今後もさらに改良していくとして、投資家やアナリストという
立場に立った時、公式Webサイトのどこを注意して見ていくのがよいか
を筆者なりに提案してみた。前後するが、第9章、第11章では、筆者の
アプローチから「この企業のWebサイトからは、真の企業価値向上意欲
や具体策が見えてくる」というような理想型を示せていればと願って
まとめてみた。
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[編集後記]
 NRIの同期である近藤一仁氏には3度目の投稿をお願いし快諾いた
だいた。近藤氏はアナリストからIR専門家への転進を目指している。
静養期間での執筆といい、同期としてそのエネルギーを羨ましくもある。
NRIのOBにはベンチャーキャピタリストとして活躍している人も多い。
ベンチャーキャピタル市場は米国に比較して日本はまだまだ未成熟の
ようだが、先達としての活躍を期待したい。
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今日のコラム「守屋前次官証人喚問」
 今日、守屋武昌・前事務次官(63歳)の証人喚問が行なわれ、防衛
専門商社の山田洋行の宮崎元伸・元専務(69歳)(現日本ミライズ社長)
とのゴルフ接待、次期輸送機のエンジン調達などを巡る疑惑が究明
される。山田洋行には旧防衛庁OBの天下りもあり、随意契約が96%に
達するなど、不透明な調達が行なわれてきた。防衛予算4.8兆円(世帯
当たり10万円負担)の調達(物件費2.7兆円)では機密上の必要性など
を理由に随意契約が多く割高になっており、それが接待や天下りなど
に繋がっている。また商社の介入などにより兵器が米国の調達価格
より数割も高いとの話もある。
 一般競争入札化や商社の排除、天下り・接待などの完全禁止によって、
税金の無駄遣いを守屋前次官時代限りとしてもらいたい。
http://www.mod.go.jp/j/library/archives/yosan/2008/gunji.pdf

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